秋から冬が旬の「藻屑蟹(もくずがに)」を泥抜きしてから蒸していきます。
美味しく食べるには、泥抜きの下処理が欠かせません。
旬の時期のメスには、オレンジ色の卵巣(内子)が入っていて、高級な「上海蟹(しゃんはいがに)」にも劣らず濃厚で絶品です。
泥抜き、締め方、さばき方については、下記の動画を見ると分かりやすいと思うので見てみてください。
販売されている物は、泥抜き済みの場合もあるのですが、一応は残っていないか確かめるためにも一晩は泥抜きしてください。
泥がなければ、直ぐに調理することができます。
頭が出るくらいの水量に浸して、水が汚れてきたら変えながら綺麗になるまで泥抜きしていきます。
水の状態を見ながら、冷暗所で3日ほど泥抜きしました。(水は水道水の真水で大丈夫です)
エアーポンプなどがあれば、使用した方が活きが良く弱りません。
モクズガニ(藻屑蟹)Eriocheir japonica (De Haan, 1835)[1]は、エビ目(十脚目)・カニ下目・イワガニ科に分類されるカニの一種。食用として有名な「上海蟹」(チュウゴクモクズガニ)の同属異種である。日本各地で食用にされている内水面漁業の重要漁獲種である。
特徴
甲幅は7-8cm、体重180gほどに成長する、川に産するカニの中では大型種である。鋏脚に濃い毛が生えるのが大きな特徴で、”Mitten crab(手袋ガニ)”という英名もこの毛に由来している。毛はふつう黒褐色をしているが、脱皮直後は白色で白髪のようにみえる。頭胸甲はやや後方に拡がった六角形をしており、側縁部にはノコギリの歯のようなとげが3対ある。体色は白い腹部と胸部腹甲を除き、本来全体的に濃い緑がかった褐色をしている。拡大するとわかるが、実際はこれはモノトーンではなく、黄緑色の下地に黒い縞模様が混ざった豹柄に近い。野生の状態では付着物が覆っていて黒く汚れた個体も多い。なお洗剤が流れ込む川は、あずき色や黄色の色素形成異常と思われる個体が見つかることもある。成長とともに鋏脚は相対的に大きくなり、毛も濃くなる傾向がある。成体では雌雄の形態差(性的二形)が明瞭で、雄は雌に比べたくさん毛の生えた大きな鋏脚を持ち、歩脚の長さは長い。成体の体サイズは雌雄でほぼ重なるが、雄の方が小型個体が多く、また最大サイズは大きい傾向がある。
出典:wikipedia・・・モクズガニ
初日は汚れるので、必ず水を交換してください。
最初に泥抜きをしていないと、料理した後ではどうしようもありません。
泥抜きを終えたら、暴れないように氷水に浸して仮死状態にしてから、金串などを口に刺し込んで締めてブラシで洗い「塩茹で」や「酒蒸し」にしたり調理していきます。
この下処理をすれば、指を挟まれることもなく、安全に捌けるので安心してください。
ちなみに、今回は全てメスなので、オスよりもハサミが小さいです。
「モクズガニを加熱する際のポイント」
- 泥抜きをする(水は水道水の真水で大丈夫です)
- 氷水で締めて仮死状態にする(爪で挟まれることがなく安全)
- 金串を口(フンドシの先端から刺しても良い)に刺し込んで締める(締めないまま加熱すると「自切(じせつ)」して手足が取れてしまう)
- 全体をブラシで洗い流す
- 「酒蒸し」「塩茹で」ともに甲羅を下に向けてカニ味噌が流れ出ないようにする
- 酒蒸しにする際はフンドシの内側に塩を塗り込んで蒸気の上がった状態で20分ほど蒸す、塩茹でにする際は海水程度の塩水を作り(塩分濃度3%)火にかけてない状態からカニを入れて火にかけて沸騰してから15分~20分ほど茹でる
- 完全に火を通してから食べる(寄生虫の「ウエステルマン肺吸虫」を死滅させるため)
フンドシの部分が丸いですよね?
メスはフンドシが丸く、オスは尖っているので見分けるのも簡単です。
モクズガニの寄生虫「ウエステルマン肺吸虫」に注意!生食は肺に寄生されて危険!
それから、重要な注意点が一つあります。
モクズガニ、沢ガニ、も同じくですが、寄生虫の「ウエステルマン肺吸虫」がいる可能性があり、生食は危険なのでしっかりと火を通してから食べてください。
症状としては、咳が出たり、高熱が続いたりするため、薬をのんで治すしかありません。
「ウエステルマン肺吸虫」は人体肺吸虫症とある通り、人体の肺に寄生して、重篤な場合は脳にまで影響が出て非常に危険です。
しかし、完全に火を通せば死滅するため、知識があれば必要以上に怖がる必要もありません。
モクズガニの醍醐味と言えば内子ではないでしょうか?
オレンジ色の部分が内子で、産卵期に入るとフンドシの部分に外子となって粒状の卵になります。
口とエラ(ガニ)を取り除いて、そのまま食べても良いのですが、食べやすいように身を取り出して「甲羅盛り」で盛り付けてみました。
このようにすれば、カニを食べているときに無言になることもないでしょう。
手間は掛かりますが、手も汚れずに食べやすいですからね。
残った殻は出汁を摂って無駄なく使いました。
身と殻を丸ごとすり潰して作る「がに汁」という料理もあるとおり、濃厚な出汁が摂れるので無駄なく使ってください。
殻を漉してから味噌を加えると絶品です。
それでは、モクズガニの甲羅盛りと日本酒で乾杯です。
剥き身にしてあるので、「徳利」や「ぐい呑み」を汚さずに吞むことができます。
何よりも食べやすいので、カニを剥いて食べるのが面倒だなという方には喜ばれるでしょう。
「酒蒸し」か「塩茹で」にするかは好みですが、美味しく食べるために泥抜きの下処理が必須です。
モクズガニだけに限らず、ワタリガニなどでもメスの内子は珍重されるので、旬の美味しい時期に見かけたら試してみてください。
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