日本の包丁の切れ味は、
世界でも注目されるほど切れ味が凄い!
そんな、
切れ味の良い和包丁の中でも特別なもの・・・
本焼包丁は、
日本刀を造るのと同じ工程を経て造られます。
鋼を叩いて鍛え、
焼入れした後の熱処理後では歪み取りができないので、
土置は峰側を厚くして焼きを抑えて柔軟性を持たせ、刃の部分は硬度を出すために高熱の焼きが入るように薄くし、
焼きを入れたら油焼きの油ではなく、水で急冷して硬度を増す(水焼本焼)のが全鋼の本焼包丁です。
全鋼の本焼き包丁は、
霞包丁のように軟鉄を使いません!
主に本焼包丁で使われる鋼材は、
安来鋼の白1,白2、青1、青2と高炭素のもので、
焼入れをすると切れ味のもとにもなる硬度が高い鋼材ばかりです。
と言っても、
マニアじゃないとわからないですよね!?
簡単に言うと、
切れ味と刃の持続性に特化した包丁が本焼包丁という事になります。
それでは、
本焼の刺身包丁を見ていきましょう。
高度な技術が必要で造るのに手間もかかる本焼包丁は、
どうしても高価になってしまうため装飾品が多くなりがち・・・
桐箱に入っていたり、
日本刀を入れる刀袋が使われたりしています。
鞘や柄も黒檀で造られています。
柄は銀巻きされています。
他にも、
総銀や象牙を使用したり、
日本刀と同じように中子(刃の部分)を目釘で柄と固定するものがあるのですが・・・
包丁は水に濡れるものなので、
実用性としては埋込み式の方が良いなと思い選びました。
全鏡面の本焼包丁です。
表側の平と切刃と峰に、
裏側の全てを磨いて鏡面にしています。
本焼包丁ならではの刃紋は鏡面にしてしまうと見えにくくなりますが、
鏡面にした方が水を寄せ付けないため錆防止にも繋がります。
柳刃包丁の切っ先・・・
この切っ先の切れ味が大事になるのが刺身です。
包丁の切れ味が、
そのまま味に繋がるのが刺身!
滑らかな切り口のためには、
一息で切れる包丁でないといけません。
日本刀の製法から造られる本焼包丁と、
本当の日本刀との違いは・・・
日本刀と本焼包丁の違い!?
刀掛けの上にあるのは日本刀の真剣(認可済み)です。
もちろん、
所持の許可がないと銃刀法違反になりますので注意!
現在の本焼包丁の主な鋼材となる安来鋼は、
精錬されているため純度が高く不純物が少ないので折り返し鍛錬する必要がありませんが・・・
日本刀は精錬されていない鋼を折り返し鍛錬して不純物を除いているので、
表情も豊かで刃紋も独特なものになります。
つまり、
本焼包丁と日本刀は近いものであって別のもの!
本題の本焼包丁に戻りましょう・・・
本焼包丁は長所と短所がある!後悔しない包丁の選び方とは?
最後に、
本焼包丁の長所と短所を言っておきます。
本焼包丁のメリットは・・・
- 切れ味が良い
- 刃の持続性が良い
- 全鋼のため霞包丁より歪が出にくい
- 全鋼のため研いでも型崩れしにくい
- 見た目にも映える
本焼包丁のデメリットは・・・
- 高炭素のため錆びる鋼材が多い(錆びにくい新しい鋼材もありますが主ではない)
- 全鋼で硬度も高いため落とすと真っ二つに折れる事がある
- 霞包丁を造るより手間と技術が必要なので高価になってしまう
- 硬いので研ぐのに時間がかかる(砥石を選ぶ必要がある)
という訳で、
上記を踏まえた上で、本焼包丁が霞包丁より良いところばかりではなく、
自分の用途に合った包丁を選ぶ事が一番大事で、後悔しない包丁選びにも繋がると思います。
ちなみに、
私の場合は・・・
本焼包丁を持っていても、
錆びにくい鋼材の銀三で造られた霞包丁の方が使い勝手が良く、
切れ味にも不満が無いので愛用しています。
大事に使えば一生物の和包丁、
研ぐメンテナンスをしながら丁寧に使いましょう!